認定(えるぼし)
行動計画の策定、策定した旨の届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な事業主は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。
認定を受けた事業主は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品・広告等に付すことができ、女性活躍推進事業主であることをPRすることができ、優秀な人材の確保や企業イメージの向上等に繋がることが期待できます。
【認定基準】
◆評価項目1:採用(雇用管理区分ごとに評価基準を満たす必要があります。)
男女別の採用における競争率倍率(応募者数/採用者数 )
◆評価項目2:継続就業(区)
①「女性労働者の平均継続勤務年数÷男性労働者の平均継続年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.7以上であること(期間の定めのない労働契約を締結している労働者に限る)
②「10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合」÷「10事業年度前及びその前後に採用された男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.8以上であること(期間の定めのない労働契約を締結している労働者かつ新規学卒採用者等に限る)
◆評価項目3:労働時間等の働き方(区)
雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること
◆評価項目:管理職比率
①管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること
又は
②『直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある男性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合」』が0.8以上であること
◆評価項目5:多様なキャリアコース
直近の3事業年度のうち、以下について大企業は2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含むこと)
中小企業は1項目以上の実績を有すること
A:女性の非正社員から正社員への転換(派:雇入れ)
B:女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分の転換
C:過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
D:おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用
一般事業主行動計画の策定
- 「女性活躍推進法に基づき、自社の女性活躍状況に合わせた行動計画を作りたい」
- 女性活躍を推進するためには、まず組織の把握することが大切です。
数値を把握することに加え、意識調査を実施し、どの程度女性活躍への意識が醸成されているか、
また阻害要因を明らかにしなければ取り組む手順や対応を適切に行うことができません。 -
【ステップ1】 女性の活躍に関する状況把握、課題分析
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行動計画の策定にあたって、自社の女性の活躍に関する状況に関する状況把握、課題分析を行い、その結果を勘案し定める必要があります。課題の分析にあたっては、まず『基礎項目』(必ず把握すべき項目)の状況把握、課題分析を行い、その結果、事業主にとって課題であると判断された事項については、『選択項目』(必要に応じて把握する項目)を活用し、さらにその原因の分析を深めましょう。
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◆基礎項目
①採用した労働者に占める女性労働者の割合(区) - <計算方法>:直近の事業年度の女性の採用者数(中途採用含む)÷直近の事業年度の採用者数(中途採用含む)×100(%)
※把握が難しい雇用管理区分については、「労働者に占める女性労働者の割合」で代替することができます。
②男女の平均継続勤務年数の差異(区)
- ※期間の定めのない労働契約を締結している労働者及び同一の使用者との間で締結された二以上の期間の定めのある労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が対象。
③労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
<計算方法>「各月の対象労働者の(法定時間外労働+法定休日労働)の総時間数の合計」÷「対象労働者数」
これにより難い場合は
[「各月の対象労働者の総労働時間数の合計」-「各月の法定労働時間の合計=(40×各月の日数÷7)×対象労働者数」]÷「対象労働者数」
- ※A 事業場外みなし労働時間制の適用を受ける労働者(労働基準法第38条の2)、管理監督者等(労働基準法第41条)は除く。
- ※B パートタイム労働者(パートタイム労働法第2条の短時間労働者)は、それ以外の労働者とは区別して把握する。
- ※C 専門業務型裁量労働時間制の適用を受ける労働者(労働基準法第38条の3)、企画業務型裁量労働時間制の適用を受ける労働者(労働基準法第38条の4)は、それ以外の労働者とは区別して把握する。
④管理職に占める女性労働者の割合
<計算方法>:女性の管理職数÷管理職数×100(%)
※「管理職」とは、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者の合計
◇「課長級」とは、以下のいずれかに該当する者
- ・事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、2係以上の組織からなり、若しくは、その構成員が10人以上(課長含む)の長
- ・同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)
《留意点》・・・(区)の表示のある項目については、雇用管理区分ごとに把握を行うことが必要。
「雇用管理区分」・・・職種、資格、雇用形態、就業形態等の労働者の区分であって、当該区分に属している労働者について他の区分に属している労働者とは異なる雇用管理を行うことを予定して設定しているものをいう。
(例:総合職、一般職/事務職、技術職、専門職/正社員、契約社員、パートタイム労働者 など
◆選択項目
「基礎項目」に加え、自社の実情に応じて把握することが効果的である選択項目については、以下のとおりです。
- なお、より深く課題分析を行うために、他に適切な状況把握の項目や課題分析の方法がある場合は、各事業主の実情に応じて、当該項目・方法により分析を行うことも効果的です。
①採用
・男女の採用における競争倍率(区)
・労働者に占める女性労働者の割合(区)(派)
②配置・育成・教育訓練
・男女別の配置の状況(区)
・男女別の将来の人材育成を目的とした教育訓練の受講の状況(区)
・管理職や男女の労働者の配置・育成・評価・昇進・性別役割分担意識その他の職場風土等に関する意識(区)/(派:性別役割分担意識など職場風土等に関する意識)
③継続終業・働き方改革
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合(区)
・男女別の育児休業取得率及び平均取得期間(区)
・男女別の就業生活と家庭生活との両立を支援するための制度(育児休業を除く)の利用実績(区)
・男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績
・労働者の各月ごとの平均残業時間等の労働時間の状況(区)(派)
・管理職の各月ごとの労働時間等の勤務状況
・有給休暇取得率(区)
④評価・登用
・各職階の労働者に占める女性労働者の割合及び役員に占める女性の割合
・男女別の1つ上位の職階へ昇進した労働者の割合
・男女の人事評価の結果における差異(区)
⑤職場風土・性別役割分担意識
・セクシャルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況(区)(派)
⑥再チャレンジ(多様なキャリアコース)
・男女別の職種又は雇用形態の転換の実績(区)(派:雇入れの実績)
・男女別の再雇用又は中途採用の実績(区)
・男女別の職種若しくは雇用形態の転換者、再雇用者又は中途採用者を管理職へ登用した実績
・男女別の非正社員のキャリアアップに向けた研修の受講の状況(区)
⑦取り組みの結果を図るための指標
・男女の賃金の差異(区)
《留意点》(派)の表示のある項目については、派遣労働者の役務の提供を受ける場合には、派遣労働者を含めて把握を行うことが必要。
【ステップ2】 行動計画の策定
ステップ1の状況把握、課題分析の結果を勘案し、行動計画を策定しましょう。
行動計画には、(a)計画期間、(b)数値目標、(c)取組内容、(d)取組の実施時期を盛り込むこととされています。
また行動計画を策定する際には、別途、策定例も参考にしてください。
目標設定について
◆計画期間
平成28年度から平成37年度までの10年間を、各事業主の実情に応じておおむね2年から5年間に区切り、定期的に行動計画の進捗を検証しながら、改定を行いましょう。
◆目標設定
・目標は、1つ以上数値で定める必要があります。
・状況把握、課題分析の結果、事業主の実情に応じて課題であると判断したものに対応し、最も大きな課題と考えられるものから優先的に数値目標を設定しましょう。
・できる限り積極的に複数の課題に対応する数値目標を設定することが効果的です。
・数値目標は、実数、割合、倍数など数値を用いるものであればいずれでもよいですが、計画期間内に達成を目指すものとして、各事業主の実情に見合った水準にしましょう。
<数値目標の例>
・採用者に占める女性比率を( )%以上とする。
・営業職で働く女性の人数を( )人以上とする。
・男女の勤続年数の差を( )年以下とする。
・従業員全体の残業時間を月平均( )時間以内とする。
・管理職に占める女性比率を( )%とする。
・課長級/部長級/役員に占める女性比率を( )%以上とする。
・非正社員のキャリアアップに向けた研修の受講率を男女ともに( )%以上とする。
・女性の選抜研修等の受講人数を男性と同水準の( )人以上とする。
・女性の人事評価結果の平均値を男性と同水準の( )ポイント以上とする。
◆取組内容
・取組内容を決定する際は、最も大きな課題として数値目標の設定を行ったものから優先的に、その数値目標の達成に向けてどのような取組を行うべきか検討しましょう。
・取組内容と併せて実施時期も検討しましょう。
【留意点】行動計画の内容は、男女雇用機会均等法(均等法)に違反しない内容とすることが必要です。
募集・採用・配置・昇進等において女性労働者を男性労働者に比べて優先的に取り扱う取組については、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない(女性が4割を下回っている)雇用管理区分であるなど、一定の場合以外は、法違反として禁止されています。
女性が4割を上回っている雇用管理区分において女性の活躍を推進しようとする場合は、男女労働者ともに対象とした取組を実施することにより、数値目標の体制をめざしましょう。
ここではS社を例に、均等法に違反しない目標・取組とするための検証をしていきます。